西洋絵画の古典的な描き方、テンペラ絵具と油絵具を併用する「混合技法」とは。

絵画




絵画の技術には、

水彩画、油絵、アクリル画、

水墨画、日本画などなど

さまざまなものがありますよね。

この絵画技術の中から、

今回は西洋古典絵画の技術「混合技法」

についてまとめてみました。

 

目次

「混合技法」とは?

「混合技法」とは

テンペラ絵の具油絵具

併用して絵を描く技法です。

このふたつの絵の具を交互に重ねながら

絵を構成してゆきます。

 

テンペラは、

顔料を卵で溶いて使う水溶性の絵の具です。

それに対して、油絵具は、油性ですから

通常は油性の上に水性のものを重ねると

はじいてしまって塗り重ねることができません。

しかし「混合技法」はそれができます。

 

 

「混合技法」の特徴

ではどうやって水性絵具を
はじかないようにするのかというと

テンペラ絵の具を「乳化」させます。

「乳化」とは一般的に

油分と水分が混ざり合った状態のことをさします。

身近なものではマヨネーズがわかりやすいですね。

マヨネーズは卵と酢とサラダ油でつくられています。

酢と油は混ざり合わずに分離してしまうけれど

そこに卵が加わることで混ざり合ったままです。

卵は油分と水分を混ぜ合わせる「乳化剤」なのです。

つまり「混合技法」はこれと同じ方法を用いています。

乳化剤 ⇒ 絵の具のメディウム

 

油分を含んだメディウムと顔料を混ぜたテンペラ絵の具は

水で希釈して描くことができ、

乾燥して水分が蒸発すると

画面に油分だけが残り油絵具と同じになるから

水彩→油彩→水彩→油彩…と重ねて塗ることが出来る

という訳です。

 

混合技法の描き方

テンペラは、白色(チタニウムホワイト)だけを使って

陰影を出すため、描き始める前に

支持体に有色下地(インプリマトゥーラ)を施す必要があります。

有色下地を塗った後テンペラ白で陰影を描き起こし、

その上に油絵具をグレーズして着彩します。

上の画像は、キャンバスにライトレッドという色で有色下地を塗り

テンペラ白で貝の形をモデリングしたところです。

この後、油絵具で色を付け

再度テンペラ白で明るい部分を描き起こし、

また油絵具をグレーズする…

この工程を繰り返して絵を描き進めます。

詳しい工程はこちらの記事でご紹介しています。

 

 

かんたんな制作過程

絵の制作過程「洋ナシを描く」 

こちらの記事で制作過程を少しだけ公開しています。

よろしければご覧下さい(^^)